人は皆、幸せを求めて生きています。しかし、その「幸せ」とは一体何なのでしょうか?私も長い間、その問いに対する答えを探してきました。しかし、ある出来事をきっかけに、その意味を深く考えさせられることになりました。
私は30歳の時にTリンパ芽球性リンパ腫という悪性リンパ腫にかかりました。そこから始まったのは、抗がん剤治療との長い戦いでした。1種類目の治療が効果を示さなければ次、2種類目、3種類目と治療方法を変えていきました。しかし、何種類もあるわけではなく、残された治療法は徐々に少なくなっていきました。その時、私は「自分の人生はここで終わるのだ」と覚悟しました。
幸いにも4種類目の治療が効果を示し、その後、臍帯血移植を行うことで現在は7年が経過し、生を謳歌しています。しかし、あの時「自分の人生はここで終わるのだ」と思った瞬間、私は初めて自分の人生を真剣に振り返りました。そして、愕然としたのです。今までの30年間は一体何だったのだろうと。私には、何一つ成し遂げたものがなかった。社会のレールに従い、大学に進学し、大企業に就職し、言われた仕事をこなしてきた。それなりの報酬も得ていましたが、いざ自分の最期を感じた時、自分の人生には何も残っていないと気づいたのです。
この経験から私が学んだことは、真の幸せとは「自分の人生に納得できるかどうか」にあるということです。誰かに認められることや世間体、収入の多さだけでは、本当の意味での幸せを感じることはできません。最期の瞬間に「自分は上手くやった」「もう思い残すことはない」と心から思えること、そう感じられることこそが、本当の幸せなのではないかと考えるようになりました。
しかし、多くの人は最期が近づくまで、自分の人生を真剣に見つめる機会は少ないかもしれません。だからこそ、「今が良ければそれでいい」と考えてしまうこともあります。もちろん、それも一つの生き方です。しかし、いずれその人たちも最期の瞬間に気づくのではないでしょうか。「自分は何をしてきたのだろう」と。
私たちは誰しもが、自分自身の幸せを見つける力を持っています。大切なのは、他人と比較するのではなく、自分自身にとって本当に意味のあること、心からやりたいと思うことを見つけ、それに向かって生きることです。たとえ小さな一歩であっても、自分が選んだ道を進むことで、最期の瞬間に「自分はやりきった」と思える人生を築くことができるでしょう。
幸せとは、他人の評価や社会の基準に囚われることなく、自分自身の価値観や生き方に納得し、満足できることです。私たちが歩む人生の中で、何を成し遂げ、どのように生きるか。それは自分自身にしか決められません。だからこそ、今この瞬間から、自分にとって本当に大切なものを見つける旅を始めてみませんか?そして一生懸命、精一杯の力で生きてみることをおすすめします。最期の瞬間に「いい人生だった」と心から言えるように。